分譲住宅を販売する会社の中には、業界の中でパワービルダーと言われる会社があります。彼らのビジネスモデルは住宅産業の中では割と特殊で、業界人じゃないと中々理解しづらい面もあること思いますので、解説ブログを設置することにしました。
パワービルダーとは、一般には住宅一次取得者層をターゲットにした床面積30坪程度の土地付き一戸建住宅を2,000~4,000万円程度の価格で分譲する建売住宅業者を指している和製英語である。
Wikipediaより抜粋
このように、Wikipediaには解説されていますね。なんか良くわかんない感じなので、
パワービルダーに10年勤めた僕の体感で書きます。
僕は、パワービルダー(現在のIグループのH社)に入社する前は、大手ハウスメーカーD社で働いていました。パワービルダーに勤めて、僕が一番初めに驚いたのは、その一棟あたりの利益率の低さです。どちらも建築会社なので、一棟あたりの利益は社員で共有しています。僕は両社に在籍していたので、その差に驚きました。全くどこから、僕の給料でるの?と思いました。あとから、利益率の計算の仕方が少し違う事に気が付くのですが、それでも相当な差があります。
それでは、どうやって儲かっているのか?
と、疑問が出るかと思うのですが、話は簡単で数売る事です。多くの物件を販売して、少ない利益を積み重ねるビジネスモデルなんですよ。いわゆる薄利多売方式です。
今僕は、薄利多売方式と簡単に言いましたが、これを住宅産業でやるってすごい事なんですよ。はっきり言ってえげつない・・・例えば僕の在籍したD社では、月に一棟の戸建て住宅を販売している営業マンはエース級でした。年12棟販売すればエースです。それをH社の場合、営業人員3名で年70棟くらいは平気でしたね。ちなみに目標は100棟でしたが・・ ベンチマークに達しない店舗の一人当たりの平均が年間23棟くらいなんですよ。H社の凡百な営業は、D社のエースのおよそ2倍販売していた訳です。能力でいったら、断然D社のエースが上だと思いますが、なぜそんな事ができるのか・・・
集客をアウトソーシングしている
パワービルダーの大きな特徴ってこれだったりしますね。つまり、街の不動産屋に販売業務を委託しているので、ここまで数が売れるのです。パワービルダーは不動産仲介システムで、販売しています。依頼を受けた不動産屋は自分の経費で、広告活動を行い購入者を探し、売主であるビルダーに買主を紹介します。これだとビルダーに広告費用はかかりません。また、不動産屋は不特定多数です。大手から僕のような街の不動産屋まで・・・分け隔てなく物件販売を依頼します。ビルダーは依頼を受けてくれた不動産屋の数だけ、営業マンを増やすことができます。さてそれで、コミットしてくれる不動産業者の数だけ広告が打てて、その数だけ営業マンを使うのにビルダーが支払う費用はいくらでしょうか?
販売金額の僅か6%
正確に言うと、ビルダーが3%、購入者が3%負担してます。しかも、その6%の費用は、販売を担当した業者1社にだけ支払われます。実際に1つの物件に投下される広告費と人件費は一体その何倍になっているのでしょうか?パワービルダーはそうしておそらく最小限の販売経費で最大の人員を使って販売しているので、平均的な営業担当者がD社の2倍の販売実績を上げられるのです。しかもそれは平均値なので、店舗ベースで見ればさらに差が出る事になります。
あとは、規模のメリットで建築コストを下げるだけ・・
ロットが揃えば建築費用を下げるのは比較的簡単です。建築費が安くて、販売経費を最小にしても出回る広告量は1棟あたりで、おそらく最大なのですぐに売れる。この循環で、コスパお化けの建売物件が出来上がります。一棟当たりの利益が低くてもパワービルダーは儲かる事ができるのです。
良くお客様にこんなに安くて大丈夫ですか?と聞かれますが・・
「売主の〇〇社はパワービルダーなので、大丈夫ですよ。」で、納得していただけると楽なのでこの記事を書いた次第です。とは言え、彼らはなかなか広告費を使わない方達なので、なかなか広まらない話なのかもしれません。
最後にわが事務所は現在仲介手数料0円キャンペーン実施中です。このブログの文脈で行くと、販売金額の僅か6%が3%になるキャンペーンですね。毎月限定五組なので、福岡県と佐賀県の方はチェックしてください。
以上、ここまで読んで頂いてありがとうございました。
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